ライトノベル アリソンU レビュー

タイトル アリソンU 真昼の夜の夢
著者 時雨沢恵一
イラスト 黒星紅白
出版 電撃
発売日 2003年3月


執筆者:jade 評価:
1巻から半年後。
今回はアリソンとヴィルとの手紙のやりとりから始まります。それは主に互いの近況を伝え合うものでした。
あるとき、その手紙のやりとりからヴィルの冬期研修旅行を聞きつけたアリソンはある計画を立てて実行。
その結果ヴィルとアリソンは久しぶりの再会を果たし、一緒に行動することに…
ところが名探偵よろしく、アリソン行くところに事件ありといった感じで案の定トラブルに巻き込まれ、事態は思わぬ方向に───

というのが今回のあらすじ。

第1章が「手紙と会話」、ラストの第8章が「会話と手紙」とタイトルが示すとおり、この巻は手紙で始まり手紙で終わります。このように出発点と終着点を最初に明確に定めて構成されているのがイイですね。こういう形式はかなり好きなのですよー煤i>▽<)
物語の方はというと今回もアリソンに引っ張りまわされたヴィルは前回同様歴史の証人になります。詳しい説明はネタバレ要素を多分に含むので本編を読んでくださいというしかありませんね。

第8章の「会話と手紙」で今回起こった出来事の真相が明かされることになるのですが1巻と同様、さして重要でない伏線については詳しく言及することなく仄めかす程度で終わります。これらはそれまでしっかり読んでいればわかるものであり、仮に何のことか理解できなくても物語を理解する上ではさして問題は無いので安心してください。このようなスタンスの作品だと一言一句見逃すことはできず、頭を使いながら読み進めることになるので濃密な時間を過ごしたという達成感を得られますね。また余計なことに文章を割いていないため、展開もスピーディーになり中だるみしないところも長所といえるでしょう。

キャラクターについてですが今回はベネディクトがとにかくかっこいいです!中盤以降、首都で起こる事件では彼を中心に物語が展開され、フィオナとの恋愛も描かれ、さらには要所要所で名言を吐くなどもはや主人公と言っても差し支えないくらいの活躍を見せてくれます。
特に印象に残ったのはフィオナが“もしもわたしに殺してやりたい人ができたら〜”と話した時のこの台詞。
「そうなってもあなたが殺す必要はありません。あなたはそんなことをしてはいけません。そのかわりに──私がその人を殴ります。ぐーで殴ります」
彼の真摯な想いと間の抜けたセリフが生み出す微妙な齟齬が妙におかしく印象に残りました。これはベネディクトがロクシェ語を学び始めたばかりで語彙が少ないため、面白い言い回しになっただけで狙って言ったものではないんですけどね。それでもこのセリフがこれまで深刻になっていたフィオナの雰囲気を変え、笑いを取り戻す結果に繋がったのはただ面白かっただけではなく、彼の真摯な想いが彼女に伝わったためでしょう。まさにジェントルマンの理想的な姿ですね。

そして忘れちゃならないのが相変わらず鋭いヴィル。
彼は誰から聞くわけではなく地力で真相にたどり着き、物語の最後を締めくくります。それもただ真相を明らかにするだけではなくフィオナを呪縛から解き放つのだから恐れ入ります。
でもこと自分のことになると相変わらず鈍いんですよねぇ(苦笑
もうアリソンが不憫で不憫で(´Д⊂
ヴィルとアリソン。結局二人の恋の行方は3巻に持ち越しということになります。

評価は文句なしでS。謎解きの要素や登場キャラの恋の行方など1巻よりずっと面白くなっています。


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